Rir6アーカイブ

2008-03-05

[自分語り]対話編

A:「はいそれじゃ次の方どうぞー。今日は一体どうしましたか?」

B:「なんか最近寝る前にとても憂鬱で……ふと『自分ってこの先生きていく意味なんてあるんだろうか』とか思うんです。」

A:「あーそりゃドーパミンとかがあまり分泌されてないんですね。そいじゃ向精神薬とか出しとくんで眠る前に飲んでください。はい次の方どう……」

B:「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。もう少しぐらい真面目に、『何が原因なのか、思い当たる節とかはありませんか?』とか聞いてくれたって良いじゃないですか?」

A:「(チッ……面倒な客だな)あー、じゃあ聞きましょうか。何か最近あったの?」

B:「いや、特にこれといった特別なことは無かったんですがね……」

A:「そうですか。じゃあ原因が分からなくても良く効くお薬出しときますから。それでも効かなかったらあとは『人格改造マニュアル』

[asin:4872333098:detail]

でも読んでなんとかしてください。それじゃ……」

B:「だーかーらー、そんな簡単にクスリクスリって言わないでくださいよ。もっとカウンセリングとかですね……」

A:「カウンセリングねぇ……つったって別に特別なことは何も無かったたんでしょ?」

B:「いや、問題はむしろそれなんですよね。むしろ特別なことがないのがとても辛いというか……」

A:「というと?」

B:「このまま大学生活(*1)を何事も無く卒業して、でどっかで就職して仕事をしていく、そして毎日仕事に追われ楽しくもないことをして、家に帰ったら少しの時間を刹那的な娯楽に注ぎ込んで寝て、朝起きたらまた仕事に出かける。そんな日常が大学を卒業したらずっと続くのかと思うと、もう嫌で嫌で……」

A:「あれだ、要するにおきまりの『日常が嫌』というハルマゲドン幻想か。『終わりなき日常を生きろ』

[asin:4480033769:detail]

でも読んどけ」

B:「読みました。」

A:「読んだのその年で!?今時の若者ならもうちょっと今の本読めよ。大体その頃と今じゃ宮台の意見も大きく違うらしいじゃん。よく知らないけどさ」

B:「俺もよく知りません。基本的にいろいろな本はブックオフで買って読むんでどうも今の流行と外れちゃって、その性で『オジサンっぽい』とかよく言われるんですよね……って、そんな話はどうでも良くてですね。そういう本も一杯読みました。確かにその本に書いてあったオウム信者なんかは僕と全く同じ性格だったでしょう。だけど何か違うんですよ……」

A:「あれか、差異化ゲームか。『他の人と若干違う俺カッコイー』ってか。ダサっ。」

B:「あんたその性格で良く精神科医なんかやってられますね。」

A:「うん、多分著者がキャラ設定を間違えたんだろう。で?具体的に何が違うって言うのよ?」

B:「何というか、確かに僕は『日常』を嫌いなんですよ。けど、何でそれが嫌いなのかというと、それは『今』という時間が『ビューティフル・ドリーマー』みたいにずっと続く

[asin:B00006C1W0:detail]

から嫌というんじゃくて、むしろその先に『労働』という地獄があって、しかも今の日常をこのままだらだらと続けていたらその地獄に入るのは確実、そんな恐れなんですよ。」

A:「要するにあれか。『働いたら負けかなと思っている』とwwww」

B:「だってそうじゃないですか!労働っていうのは、明らかに自分がその時間『楽しんで生きる』ことを止めて、相手に奉仕する、そんな時間じゃないですか!そして僕は大学を卒業すれば、やがてそんな労働を一日の大半を使って行わなきゃならない。労働時間に苦痛が10生み出されるとしたら、例え多く見積もってそれ以外の時間に快楽を5生み出せるとしても、総計では苦痛が5残る。つまり、大学卒業した後は、生きていたって人生は苦痛の赤字がただ増えていくだけなんですよ!だったらいっそここら辺で破産した方がと考えるのは、むしろ合理的な考えでしょう?」

A:「働くのってそんなに辛いかなぁ?」

B:「辛いですよ!今僕はお金が足りなくてやむなくバイトしているんですが、バイトしている時間は、本当になんで人生の限られた時間をこんなことしていなきゃいけないのか分からないですもの。何にも自分のやりたいことも出来ず、ただ人の命令を聞いて、それに従う行為をするだけ。もしその命令を聞き間違えでもしたら、こっちに悪意がなくても怒られる。何にも楽しいことなんてない。」

A:「それはあなたのバイトが辛いだけなんじゃないの?人間は本来『働く』ことを快楽と思うって言うじゃん。」

B:「それは断じて違います!僕はこれでも様々なバイトをしてきたんですが、今のバイトよりもっとキツイ仕事なんか山ほどありました。ですが、じゃあその反対にこれ以上楽な仕事があるかといえば、考えても見てくださいよ、労働時間に自分のやりたいことがやれて、人の命令を聞かなくても良くて、人に怒られることの全くない。そんな職業ありますか?」

A:「いや確かにそんな職業はせいぜい自宅警備員くらいしか思い浮かばないけれどもさ、でも労働の現場にも楽しさはあるじゃない?職場の仲間と仲良くなったり……」

B:「確かにそういうことを言う人はいますね。最近もある哲学者が『労働は喜びである』(*2)みたいなことを言ったり、それに対して派遣などの問題で有名な法学者が賛意を表明していたり(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_f4db.html">*3)、つまり『労働』自体は問題ではなくて、『良い労働/悪い労働』というのがあって、この内の悪い労働が増えているのが問題なのだと、そういう論調が最近増えている。そして当然そのような論調に則れば、良い労働を独占している人間達が悪いということになって、その結果赤木氏とかの『打倒プチブル』的な話になるのでしょう。」

A:「いや、そんな論壇めいた話は知らないけども」

B:「でもね、じゃあ僕たちは本当にそんな中流階級の生活を良き労働と考えているのか?これは赤木氏の記事を批判したときも

第一、赤木氏は「普通のサラリーマン家族」がうらやましいと言うが、そんな家族、本当に羨ましいか?羨ましいとしたら、何が?

家族?

車?

家?

もしどれかだとしたら、やっぱり僕はそういう気持ちは分からない。東京タワーの上で自分の人生に自己満足して、「明日からもこうして生きていく~♪」なんて言う平等、こっちから願い下げだ。まだギリギリの生活の方が良い(もちろん一番良いのがのんびりしながら自由に生きれる生き方であり、それを僕は目標とするが)。

http://toushoran.blog.shinobi.jp/Entry/5/

という風に書きましたが、僕の根本的疑問で、はっきり言って僕から言わせれば『良い労働/悪い労働』とかいう区分けは『良い殺人(=戦争における人殺し)/悪い殺人(=平時における殺人)』、『良い差別(=いわゆる「区別」)/悪い差別』とか『良い自殺(カミカゼ、腹切り)/悪い自殺』という区分けと同じぐらいナンセンスなものなんですよ。ただみんなそれに気づきたくないから耳を塞いでいるだけ。耳を塞いで目を瞑って、何も感じないように心を麻痺させて、本当はつまらない自分の人生を『俺の人生はつまらなくなんかない!』

[asin:B00006K0UK:detail]

と自己暗示してやりすごしているだけなんです!だって、職場での仲間関係とか言ったって、どうせそんなもの『給料』という利益を共有しているだけの仲間に過ぎないじゃないですか!だから、もしそういう『給料』がちょっとでも損失しそうになること、例えば仕事でミスをしたりすればそんな関係はがらがらと崩れて、罵声が鳴り響くことになる。そんなの関係のどこに『仲間の楽しさ』とか、そんなのを見いだせば良いんですか!」

A:「あのなぁ……だったらどうだ、嫌なことをするんじゃなくて、好きなコトを仕事にすれば良いんじゃないの?梅田望夫とかが言ってたじゃんそんなこと」

B:「一応社会学なんてものを学んでますから、好きを仕事にとかそういうことの危うさはさんざん学んで

[asin:4087203611:detail]

います。」

A:「あー社会学者ってよくそういうこと言うよね。教授もよく『フリーター問題とか扱ってて言うのも何だけど、お前らはせっかく大学入って、新卒で就職口も見つかるんだから、絶対新卒で就職しておいた方が良いぞ』とか言ってたし。」

B:「そうなんですよ……なんか社会学とか学ぶようになってから、より仕事とかそういうものへの絶望がきつくなったんですよね……楽しいことを仕事にしようとかすると危険だ。アーティストとかそんなのを目指しても搾取されるだけだ……結局今の日本はまっとうに生きていくのが一番楽だ……まぁ、そういう脅しはきちんと実証的なデータに基づいていますしねぇ。」

A:「うん。というかよく考えたらそもそもキミのような人間が楽しいと思うようなことって、どうせ努力もせずにただ動画を見たり、好きなマンガを適当に読んでいるとか、そんなことばっかだろ?『絵を描く』とか『音楽を作る』とかならまだしも、そんなことを仕事に出来る職業なんてあるわけないもんなぁwww」

B:「やっぱり死んだ方がましなんでしょうかねぇ」

A:「まぁ待ちなさい。とりあえず薬飲めばどんな人生も楽に思えるから。というか薬なんか飲まなくたって、どうせ君には死ぬ度胸なんかありやしないんでから、ずるずると生きていく内に『俺の人生はつまらなくなんかない!』とか思いこむようになるよ。そしたらまたウチのとこに来なさい。精一杯『おめでとう!』と言いながら拍手した後、ぼっそり『キモチわるい……』とかつぶやいてやるからさ。そんな好きでしょ君?」

B:「いや、男にやられるのはむしろ殺したくなるほど腹立ちます。」

A:「ですよねーwwwww」

B:「(こいつ……いつか殺す)」

*1: ※飛び級です。ちよちゃんです。何もプロフィール欄と矛盾はありません:-)

*2: id:desdel:20071105

*3: http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_f4db.html