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2005-10-17


[青環法&メディア規制][情報社会論]何が出来るの?何をすれば良いの?

児童ポルノ氾濫 複製DVDをネット販売 流通容易、値崩れも 個人所有の規制急務より

 捜査当局は、児童ポルノ事件の摘発に本腰を入れており、その結果、製作現場の悲惨な現状が少しずつ明らかになっている。

 関西で摘発された業者が製造していた『関西援交シリーズ』では親の借金のかたに身売りされた十一歳の少女が保護された。売春行為の延長で軽い気持ちで出演し、全国に顔が広がったため自殺した少女もいた。福岡県警幹部は怒りを隠さない。「製作者には元プロ野球選手や酒造メーカーの課長、大手鉄道会社の契約社員など、表の顔は普通の大人が安易に手を出し、裏で暴力団が手引きしている」 警察庁によると、昨年一年間に児童買春・児童ポルノ事件の被害に遭った十八歳未満の児童は約千七百人で、前年比5・1%増。統計を取り始めた二〇〇〇年以降で最多を記録した。被害者の約80%は中高生が占めたが、小学生や未就学児童(園児)も計十七人いた。

僕はこの記事を読んだ時一番最初にこう感じました。

これは地獄だ……」と。

被写体とされて児童ポルノを撮られただけでもすごい苦痛なのに、それが多数の人に見られ、しかも例えその制作者が捕まったとしても、その一端広まった児童ポルノを完全に回収することは(簡単に複製し配布出来るから)不可能に近い。つまり、一端児童ポルノを撮られたら一生そのダメージを受け続ける訳です。これを地獄と呼ばずして一体何を地獄と呼ぶのか!?

更に許せないのがこの様なことを普通の大人がやっていることです。つまり彼らに罪の意識は全く無かったわけですね。そのような卑劣な行為を行いながら、平日の昼間は平然と会社に出社し、そして笑顔で働いていたわけです。僕はその姿には人間性を一片たりとも感じえません。

僕が生きている世界はその闇の中にこのような「地獄」を内包しているわけです。この記事を読んでいる読者がどうかは知りませんが、少なくとも僕はこのような「地獄」が存在していることを許す事は出来ません。だから何かしたい。何かこの「地獄」を消滅させるために行動したいと、そう思う訳です。

確かに単純所持禁止には問題点がある。けど……

そこで問題となるのが「単純所持禁止を支持するか?」ということです。

成る程、確かにこの記事の提言

 現行法では、児童ポルノを個人的に所有しても罰せられない。児童買春問題に取り組む民間非営利団体(NPO)カスパルの近藤美津枝代表は「ニーズがあるから製造・販売する人がいる。児童ポルノを持つことは『趣味』としても許されるべきではない」と話し、所有を禁じる新たな立法の必要性を訴えている。

には問題があります。http://picnic.to/~ami/repo/youbousyo2.htmから引用すれば

 「単純所持」が規制対象となった場合、国民への過度のプライバシー侵害(私領域への介入)、冤罪の多発が懸念されます。

(略)

「単純に所持する」のは、下記のような場合も想定できます。

  1. 当人が存在を知らずに児童ポルノを所持していた場合(書籍などの実体物の他、パソコンのハードディスク内など。ハードディスクへは外部から画像ファイルを入れることも可能です)。
  2. 当人が被写体の人物を児童とは知らずに所持していた場合(実体物、電磁記憶)。
  3. 親族によって撮影された子どもの裸(実体物、電磁記憶)。
  4. 現行法下で合法的に流通している、子どもの裸の実写画像を含む作品(書籍、映画など)。

(略)

また、「単純所持罪」と同じく、「単純製造罪」の制定には、以下の問題点があります。

  1. 警察による国民のプライバシー(私領域)への過度の介入を招き、多くの市民的自由が損なわれる。
  2. 曖昧かつ過度に包括的な内容による法規制は、冤罪と別件逮捕の温床となる恐れがある。

(略)

インターネットでは、パソコン使用者が「意図的に児童ポルノ画像にアクセス」しなくとも「偶然に閲覧」しただけで「画像データ」は「パソコンのハードディスク内に取り込まれ、記録されるシステム」のため、ほぼ全てのインターネット使用者が「本人はそれと意識せずとも、瞬時にして児童ポルノ犯罪者となる」可能性があります。

というような物です。そして僕もそれらの批判はおおむね正当なものだと思っています。

(ただ僕は「偶然閲覧し記録されたものでも所持していたとして処罰される」に関しては、与太話だと思っています。何故ならそれには犯罪成立の重要要件である「故意かどうか」という観点が抜けているからです。)

しかし僕はそのような批判が正当なものであると信ずるからこそ、そのような批判をする人に聞きたいんです。「じゃあ私達はどうすればこの記事に出てくるような鬼畜どもを退治し、そして子供たちを救う事が出来るのか?

原則論や高尚な思想(*1)はもう何回も聞きました。それより僕は教えて欲しいんです。一体僕は、今も発生し続けている児童ポルノ事件の被害者たちの為に何が出来るのか?「本当に児童ポルノを作る人なんてみんな死んじゃえばいいのにね」という言葉(*2)を幾らネットで叫んだって、彼ら鬼畜は決して居なくなることは無いでしょう。何か行動を起こさなくちゃいけないんですよ。じゃあその「何か」って何なのか?

そのような質問に対しもし誰も単純所持反対派が答えられないと言うならば、僕はやっぱり(問題があるのを認めながらも)単純所持の禁止を法制化を支持せざるをえません。お風呂・プールの我が子の写真を撮る自由のために、児童ポルノの被害者達を見捨てるなんて事はやっぱり優先順位が間違ってるし、警察がこの法律を悪用して政治家を陥れたりする事が無いようにしたいというのなら、もっと警察の民主化を推し進めるという方策もありますが、しかし増加する児童ポルノに対処するための方策はもうこれしかないのです。

あなた方はそのような行動を「地獄への道は善意で舗装されているんだなぁ」という風に笑いながら見つめるかもしれません。しかしそれは違うでしょう。何故なら児童ポルノの被害者からしたら現世こそまさに地獄なのですから……


*1: http://www2.gol.com/users/mct/GT400.html

*2: http://b.hatena.ne.jp/entry/http://tvmania.livedoor.biz/archives/22363626.html