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2005-03-20


[人権擁護法案]「人権擁護法案について(デスノート風)FLASH版」の問題点

人権擁護法案全体に関する僕のまとめは人権関連法案に関するまとめの手助け(臨時)にあります。この記事を最初に見た人は是非こっちの方も見て下さい。

人権擁護法案について(デスノート風)FLASH版

正直僕はこのFlashはそんなに害は無いのかなと思ってたんですよ。だって

【FLASHの意図】

・賛成/反対にかかわらずまずは、この法案を知ってもらうことが必要と判断し FLASHを制作・展示しました。

・テキストすら読むのが面倒な人向け。要点と事実のみを抜粋する。

・興味が沸いたらFLASHの内容だけで消化せず、色々なサイトを回ろう!!

とか書いてあったし、色々なサイトを見ればこのFlashの間違っている所と正しい所が分かると思ってたから。だから今まで特にFlashは見てなかったんです。

でも何か最近、まとめサイトではなくこのFlashを紹介する人が多くて、まぁそれが所謂2ちゃんねる極東・ハングル板系のニュースサイトだけだった内はまだ良かったんですが、最近はこんな人までこのFlashを紹介し始めました。↓

人権擁護法案について(デスノート風)FLASH伊藤剛のトカトントニズム

http://nzm-gm.com/zinkenyoug.html

「人権擁護法案」がいかに危険なものであるかは、すでに知っているひとは知っていると思うが、まだ知らないひとは、まずリンク先のフラッシュを見てほしい。

ようは、警察よりも強い権限をもち、しかも歯止めのない機関が「これは人権を侵害している、差別である」と認証した言論を一方的に取り締まることができるというものだ。さらに、新聞などのマスコミは適用を除外し、ブログのようなウェブ世論を対象としようという動きがある。このあたりを「落としどころ」にしようということだ。

参考:http://blog.livedoor.jp/no_gestapo/

だから、こういう有名な人も紹介するぐらいだからどんなもの名のかなぁ。と実際に見てみたら……こりゃぁ人々が騙されるのも仕方ないなと(まぁ、だからといって騙される人の罪が減る訳じゃないけど)

よってこのエントリーでは「人権擁護法案について(デスノート風)FLASH版」の何が正しくて、何が間違っているかを検証してみたいと思います。人権擁護法案全体に関する僕のまとめは人権関連法案に関するまとめの手助け(臨時)にありますので、この記事を最初に見た人は是非こっちの方も見て下さい。

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えーと、まずこのサイトには前提として以下のようなものが存在しているという情報が全く抜けています

  1. 現時点で日本には現行法では救われない被差別者が存在する。
  2. そしてその様な人々を救う為の実効的な方策。つまり法整備を、日本も加盟している人種差別撤廃条約において設置された人権差別撤廃委員会の最終見解において
    10.委員会は、本条約に関連する締約国の法律の規定が、憲法第14条のみであることを懸念する。本条約が自動執行力を持っていないという事実を考慮すれば、委員会は、特に本条約第4条及び第5条に適合するような、人種差別を非合法化する特定の法律を制定することが必要であると信じる。

    12.人種差別の禁止全般について、委員会は、人種差別それのみでは刑法上明示的かつ十分に処罰されないことを更に懸念する。委員会は、締約国に対し、人種差別の処罰化と、権限のある国の裁判所及び他の国家機関による、人種差別的行為からの効果的な保護と救済へのアクセスを確保すべく、本条約の規定を国内法秩序において完全に実施することを考慮するよう勧告する。

    求められた。
まぁ、1番目の方は常識として認識しておかなければおかしいことなので、Flashに入ってなくてもおかしくないですが、少なくともまとめFlashだと名乗るからには、人権差別撤廃委員会の最終見解ぐらいは紹介しないとおかしいでしょう。

さて、それでは実際にFlashの内容を検証してみましょう。まず最初にFlashはマルチン・ニーメラー牧師の告白を紹介します。

 ナチスが共産主義者を攻撃したとき、自分はすこし不安であったが、

 とにかく自分は共産主義者でなかった。だからなにも行動にでなかった。

 次にナチスは社会主義者を攻撃した。自分はさらに不安を感じたが、

 社会主義者でなかったから何も行動にでなかった。

 それからナチスは学校、新聞、ユダヤ人等をどんどん攻撃し、

 自分はそのたびにいつも不安をましたが、

 それでもなお行動にでることはなかった。

 それからナチスは教会を攻撃した。

 自分は牧師であった。だからたって行動にでたが、

 そのときはすでにおそかった。

(丸山真男か日本に紹介した文なんですよねぇ……それがこんな形で再び出るとは">*1)しかし僕は、「では今ここにナチスが存在するとして、それに対し私達は何か対処が出来るのだろうか?」ということを考えてしまうんですよね。そして、そのことを考え抜いたドイツは、今現在「闘う民主主義」を選択している訳です。では、それに比べて日本には今ファシズムと闘える政策があるのか?このような出発点から、人権擁護法案は産まれた訳です。最も、今の人権擁護法案では闘うことは出来ない訳ですが……しかし、だからといってその理念まで間違っている、という訳ではないと、僕は思うのです。

さて、Flashを再生してみましょう。まずこのFlashでは、日本の政府は無能だという、まぁ国民の殆どが支持するであろう(わ、ことを持ち出し、そして人権擁護法案の名を出します。しかし、ここに一つの詐術があります。それは、無能な人々が作った=無能な法案という詐術です。確かにこの法案は無能かもしれません。しかし、それは「作った人々が無能だから」ということから導き出すのではなくて、法案の条項を逐一分析する事のから導き出さなければならない筈です。それなのにまず最初に日本の政府は無能だという、誰もが納得せざるを得ないことを出して法案の説明をするのは、マスコミがよくやる悪質なイメージ操作だと、断言せざるを得ません。

そして次に彼らはFlash内でこんなことを言います。

左の人「この法案についてどう思いますか?」

右の人「どうもこうも、国民に一切告知無く、こんなことをしようとしている政府の気が知れない、と言ったところかな」

まぁ、一切告知がないというのは誤りかなと。殆ど告知がないというのは事実だけど。ちなみに、民主党はきちんとマニフェストで人権侵害救済法の制定を目指す!と宣言しました。人権侵害救済法に関してはこちら

次行きましょう。何かもう一人人間が登場してきて、やっと法案に対する説明が始まり(今までのは一体何の為にあったのだろう?)ます。そして、法案の問題点を箇条書きにして提示します。

  • 言論弾圧
  • 言葉狩り
  • ネットに於ける憂国傾向に歯止め
  • 人権擁護ファシストによる正当な批判への弾圧
  • ファシズムへの一歩(日本の北朝鮮化、中国化)
  • 過去の政治汚職及び犯罪隠蔽
    当然のことながら、この箇条書きの段階では、この文章を信頼するに足る説得力は何もありません。この箇条書きされた条項が説明されことによって、初めてこの箇条書きに説得力が与えられます。

    さて、では僕もちょっと今後の検討を明確にする為に、これらの箇条書きの内、どれが正しくてどれが間違っていると思っているか示したいと思います。まず最初に、このなかで正当な批判であり、さらに正しい事実認識に基づいていると思われるのは、過去の政治汚職及び犯罪隠蔽だけだと思っています。つまり、「公権力による人権侵害について、この法律は何の効果も無い」というのは確かに事実なのです。これは人権委員会が法務省の外局として設置される

    人権擁護法案

    第二章 人権委員会

    第五条 2 人権委員会は、法務大臣の所轄に属する。

    ことからも明らかです。次に、全く不当な批判としては、未成年犯罪加害者人権擁護です。まぁ、別に「犯罪者に人権なんて無い!」と言うのは勝手ですが、日本国憲法にはちゃんと
    第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

     

    第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

     

    第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

    と書いてあります。よって、未成年犯罪加害者人権擁護は極めて当たり前のことなんですね。もしこれを不当だと考えるなら、その人はまず憲法改正を主張すべきでしょう。憲法を変えないで憲法に違反する法律を作る事は、立憲主義の原則に反しますから。

    さて、僕はそれ以外の項目は全て間違った事実認識に基づいているものと考えます。よって、これから僕はその項目に対してFlashで突っ込みます。(人権擁護法案の何が問題であり、何が問題で無いか?をご覧下さい">*2)

    さて、Flashでは左の人が何かすごくやばそうなのは分かったと言いますが、当たり前ですが箇条書き段階では何も分かりません。そして右の人が、具体的にどのような事態が生じるか説明します。

    人権擁護法案

    この法案は差別などの人権侵害を禁止するものてすが差別を厳密に定義しておらず、また差別の「助長、誘発」も禁止しています。

    と言いますが、条文にはちゃんと
     (定義)

    第二条 この法律において「人権侵害」とは、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいう。

    2 この法律において「社会的身分」とは、出生により決定される社会的な地位をいう。

    3 この法律において「障害」とは、長期にわたり日常生活又は社会生活が相当な制限を受ける程度の身体障害、知的障害又は精神障害をいう。

    4 この法律において「疾病」とは、その発症により長期にわたり日常生活又は社会生活が相当な制限を受ける状態となる感染症その他の疾患をいう。

    5 この法律において「人種等」とは、人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向をいう。

     (人権侵害等の禁止)

    第三条 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。

     一 次に掲げる不当な差別的取扱い

      イ 国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い

      ロ 業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い

      ハ 事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第八条第二項に規定する定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に基づく解雇を含む。)

     二 次に掲げる不当な差別的言動等

      イ 特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動

      ロ 特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してする性的な言動

     三 特定の者に対して有する優越的な立場においてその者に対してする虐待

    2 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

     一 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為

     二 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法を公然と表示する行為

    と書いてあります。これが曖昧が厳密かどうかを決めるには、絶対対案が必要ですね。何故なら、曖昧か厳密かというのは人によって感じ方が全く違う訳です。もしそれを各人独自の基準(これを「絶対的基準」と言う)で判断するならば、それは決して実りある物にはならないのです。よって、もし二人以上の人数でこの法案が曖昧か厳密か考えるには、必ず「相対的基準」が必要になってきます。何故なら、「AよりBの方が厳密/曖昧」というのは、比較する対象がある以上、その二つの相違点が明確になるので、問題が具象化するのです。そして、その「相対的基準」に相当するのが、対案なのです。

    よって対案を示さなければ、幾ら「曖昧だ!」と言っても独り言にしかなりません。もし対案を示せないなら、そこではなく別の問題を焦点にしなければならないでしょう。

    これらの「人権侵害」があると疑われた場合、法務省の外局に置かれる「人権委員会」が調査を始めます。人権委員会は関係者に出頭を求めたり、証拠品の提出を求めたり、立ち入り検査を行ったりすることができます。

    これらは令状請求の必要がなく、人権委員会の独断で行うことができます

    と書きますが、ここでこのFlashは、捜査に令状が必要な警察と、人権委員会を比較し人権委員会には令状が必要が無いことを根拠に、法案を否定しています。

    しかし、警察と人権委員会を比較するのは無理があるんですね。何故なら、まず人権委員会というものは基本的に警察よりもずっとなるのが難しいです。人権委員会は以下のような規定ですし

    第九条 委員長及び委員は、人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のあるもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命ずる。

    2 前項の任命に当たっては、委員長及び委員のうち、男女のいずれか一方の数が二名未満とならないよう努めるものとする。

    3 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のため両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、第一項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。

    4 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。

    人権委員は四人しか選ばれない
    第八条 人権委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。
    のですから。

    この

    しかし警察は少なくとも人権委員の選定基準よりはずっとゆるいでしょう。全国の警察官は約二十万人居ますが、人権委員はたった4人です。つまり、単純計算すれば人権委員になるには警官になるより5万倍難しいのです

    さらに人権委員会はどんなに頑張ったって人を拘置することは出来ません。そのような権限は法案には全く書かれてないからです。

    以上の事から僕は、今回の問題は警察で例えるのは適当ではないと思います。どちらかというと人権委員会は警察というより裁判所に例えるのが適切でしょう(というか、地裁の裁判官になるよりはむしろ人権委員になる方が難しいんだけど)。そして、裁判所はそもそも令状をだす側なのですから、「令状請求の必要がない」のも納得いただけると思います。

    が、協力することを拒否した場合には処罰されます。
    令状請求の話の後にこの様に書くというのも、ちょっとイメージ操作の面があるのかなと思います。というのも、確かに令状請求を司法にする必要は無いのですが、しかし罰を与えるに於いてはきちんと司法による手続きが行われるからです。上記のような言い方では、まるで人権委員会が独断で罰則を与える事が出来るかのようですが、そんなことは全くありません。

    逆に、もしこの条項が無かったらどうなるか考えてみましょう。例え人権委員会が真の人権侵害を見つけたとしても、それに対して調査をすることは殆ど不可能になるでしょう。何故なら、人権侵害をしている本人が、わざわざ罰則も無いのに調査に協力したりするでしょうか?つまり、この条項は本当に法律が効力を持つ為には必要不可欠なのです。

    そして人権委員会に人権侵害がと認定されると、当該行為をやめるように勧告され、従わない場合は氏名等の個人情報を含む勧告内容が「公表」されてしまうのです。

    このような法案は言論を萎縮させる効果が極めて大きいと言わざるを得ません。

    と言いますが、上記の点だけを考えるならば、その心配は全くの杞憂です。

    そりゃ、確かに一部の差別言論(ヘイトスピーチ)は、この法案によって規制されるでしょう。というか、そもそもそれが法律の狙いなのですから。しかし、ヘイトスピーチというのは、確かに言論の自由によって行使される物なのですが、しかしその様なヘイトスピーチは、被差別者の言論する権利すら奪ってしまうのですね。ですから、市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)でも

    第二十条

    1 戦争のためのいかなる宣伝も、法律で禁止する。

    2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。

    と書いてあるのです。そして日本もその条約に入っている以上、ヘイトスピーチが規制される事は仕方のない事なのです。
    また、「差別からの解放」を声高に叫ぶ一部の人達が「調停又は仲裁の申請」を乱発し、そのせいで人々が「被差別者」全体に反感を持ち、かえって問題が悪化する事も考えられます。
    それはちょっとおかしな論理なのでは無いでしょうか?「差別からの解放」を声高に叫ぶ一部の人達が「調停又は仲裁の申請」を乱発と言いますが、そもそも「差別からの解放」を声高に叫ぶ一部の人達というのが僕には全く分からないのですが、例えそういう人が居て、そういう人々が「調停又は仲裁の申請」を乱発しても、人々はそれで「被差別者」全体に反感を持つ馬鹿では無いと思います。更に、もしそういう人達が少し居たとしても、そういう馬鹿は現在の司法制度でも行われている(*3)人権救済訴訟を見て、既に「被差別者」全体に反感を持っていると思います。むしろそういう馬鹿のことを考えるなら、人権意識の啓発も目的とする人権擁護法案が、正しい処方箋になってしまう気がします。

    大体、一部の人々の不正な訴えを止めさせようとして、制度自体を止めてしまったら、大多数の正当な訴えをしようとしていた人々は一体どうすれば良いのでしょうか?

    言論の自由を守り差別問題の悪化を阻止するために、人権擁護法案反対にご協力をお願いします。
    そもそも「人権擁護法案反対」というのも良く分からない立場です。「人権擁護法案のメディア規制条項に反対!」とか、「人権擁護法案の人権定義条項に反対!」とかなら分かりますが、何故人権擁護法案全体を反対するのでしょうか?僕は、この法案には様々な問題点があると思いますが、もしその問題点を修正するなら是非法案に賛成したいと思います。「人権擁護法案反対!」とだけ叫んで対案を提示しない人達は、法案の目的
    第一条 この法律は、人権の侵害により発生し、又は発生するおそれのある被害の適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防並びに人権尊重の理念を普及させ、及びそれに関する理解を深めるための啓発に関する措置を講ずることにより、人権の擁護に関する施策を総合的に推進し、もって、人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とする。
    すら批判するのでしょうか?もしそうでないなら、是非対案を提示してください。

    さて、左の人は次のような事を言います。

    興味を持った人は首都官邸の意見フォームとかに反対意見の表明をしてみるといいよ
    ちょ、ちょっと待ってください!あんな説明だけで反対意見の表明を勧めるのですか?前記の様な説明は、そもそも法案を引用すらしていません。少なくとも、法案に一旦目を通すぐらいのことはしなきゃ駄目でしょう。更に言えば、幾ら自分の意見が正しいと思っていても、「俺の意見だけ見れば十分だ!」などとは、絶対に言ってはいけません。今はまだ閲覧者にとっては「始まり」に過ぎないのですから、これから色々な意見のページを回って、ちゃんとこの問題について自分の意見を作り、そしてそれを公共の場所に提示して議論をしてみて、初めてメッセージを政治家に送ることが出来るのでは無いでしょうか。今のような状況でメッセージを送る事を進めるのは、賛成派の罠であるようにも思えてきます。

    平たく言うと……

    とにかく差別的発言だとみなされたら

    • 家宅捜査
    • 資料押収
    • 情報公開
        ……ということです。まったくいやな世の中になったものです。
    あー、頭痛い……本当にこのFlash作った人法案ちゃんと読んでるのかなぁ?

    法案には次のように書かれています

    第三条 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。

    二 次に掲げる不当な差別的言動等

      イ 特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動

      ロ 特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してする性的な言動

    第四十二条 人権委員会は、次に掲げる人権侵害については、前条第一項に規定する措置のほか、次款から第四款までの定めるところにより、必要な措置を講ずることができる。(略)

     二 次に掲げる不当な差別的言動等

      イ 第三条第一項第二号イに規定する不当な差別的言動であって、相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせるもの

      ロ 第三条第一項第二号ロに規定する性的な言動であって、相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせるもの(略)

     五 前各号に規定する人権侵害に準ずる人権侵害であって、その被害者の置かれている状況等にかんがみ、当該被害者が自らその排除又は被害の回復のための適切な措置を執ることが困難であると認められるもの

    第四十四条 人権委員会は、第四十二条第一項第一号から第三号までに規定する人権侵害(同項第一号中第三条第一項第一号ハに規定する不当な差別的取扱い及び第四十二条第一項第二号中労働者に対する職場における不当な差別的言動等を除く。)又は前条に規定する行為(以下この項において「当該人権侵害等」という。)に係る事件について必要な調査をするため、次に掲げる処分をすることができる。

     一 事件の関係者に出頭を求め、質問すること。

     二 当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の所持人に対し、その提出を求め、又は提出された文書その他の物件を留め置くこと。

     三 当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所に立ち入り、文書その他の物件を検査し、又は関係者に質問すること。

    とにかく差別的発言と言いますが、それによって相手が畏怖・困惑・著しい不快を覚えたと人権委員会が認識し、さらにその事実の調査に必要と人権委員会が認識したときにのみ、家宅捜査や資料押収などは行われるのです。別に全ての差別的発言で家宅捜査・資料押収が行われる訳ではありません。さらに、情報公開、つまり勧告のことだと思われますが、それについて法案は
    第六十条 人権委員会は、特別人権侵害が現に行われ、又は行われたと認める場合において、当該特別人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、当該行為をした者に対し、理由を付して、当該行為をやめるべきこと又は当該行為若しくはこれと同様の行為を将来行わないことその他被害の救済又は予防に必要な措置を執るべきことを勧告することができる。

    2 人権委員会は、前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる者の意見を聴かなければならない。

    3 人権委員会は、第一項の規定による勧告をしたときは、速やかにその旨を当該勧告に係る特別人権侵害の被害者に通知しなければならない。

    第六十一条 人権委員会は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。

    2 人権委員会は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告に係る特別人権侵害の被害者及び当該公表の対象となる者の意見を聴かなければならない。

    という風に、更にその勧告に従わなかったときにのみ公表は行われるのです。つまり、数で言えば公表されない場合の方が圧倒的に多いと思われるんですね。しかも、その様な事をするときはきちんと意見を聞かなきゃならないということになっている。それらを全て省略して差別的発言をしたら即公表と言うのは、イメージ操作というよりは詐欺でしょう。

    次にFlashではこう言います。

    更に困ったことに人権委員会になるにはなんの資格もいらない

    おまけに外国人を採用することも可能なんだよ

    (略)

    ええっ!?外国人を採用しちゃったらなんでもかんでも差別になっちゃうんじゃない?

    はい、きちんと条文を見ましょう!
    第九条 委員長及び委員は、人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のあるもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命ずる。
    並の弁護士免許とかよりずっと厳しい選定条件でしょう。何でもかんでも差別にしちゃうような人間を総理大臣と衆参両院が選ぶなんてどうしたって想像しにくいのですが。。。大体日本に於ける差別問題には日本での外国人に対する排斥意識がとても大きいのですから、その点について外部の意見を聞く事は重要だと思うのですがねぇ……本当に人権救済の意識があるのでしょうか?
    主導権が独裁者のような人間に渡ってしまったら、最終的にはナチスのようになって終わりですよこの国
    えーと……まぁ、万が一そういうことになっても、罷免すりゃ良いんじゃないでしょうか?というか、この法律では総理大臣他の人権委員はその様な人物を罷免するよう総理大臣に命ずるようにしなければならないようになっています。
    第十一条 委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。(略)

     二 人権委員会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。

     三 第九条第四項の場合において、両議院の事後の承認を得られなかったとき。

    第十二条 内閣総理大臣は、委員長又は委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

    独裁者のような人物は「委員長若しくは委員たるに適しない非行がある」のだから、罷免しなければならないのです。

    まぁ、総理大臣と衆参両院と他の人権委員がみんな独裁者のような人間になったら話は違ってきますが……そうなったら法律があろうが無かろうが終わりです

    だからつっきから困った問題だって言ってるじゃないですが。馬鹿ですかあなたは
    オマエモナー
    政府に対する文句や法案に対する反対意見すら「差別」とみなされ規制されるような問題は、確実に広めなければならない
    そのように自らを批判する勢力を全て弾圧しようとする政府と、さらにそれを容認する衆参に於ける過半数の議員選んでしまった時点(*4)で、例え法案があっても無くても終わりだと思うのですがねぇ。大体、規制と言っても勧告だけなんですよね、強制力は司法を通さない限り存在しないんです。じゃあ司法がそういう横暴な規制を容認するかと言えば、それは絶対にあり得ないでしょう。
    左の人「ねぇ、こんな重要な問題をニュースや新聞で一切取り扱わないのはどうして?」

    左の人「わかりませんか?メディア規制が凍結されているからですよ。」

    これは一体何だろう?何で自分たちが知らなかったということを、民主主義社会に生きる自分たちの怠慢として捉えずに、マスメディアや政治家に責任転嫁するのかなぁ?そりゃ、マスメディアもちょっと不感症になりつつあるよ?でも、それはユーザーである私達が、そういう真面目な情報を好まなかったからでしょ?そりゃ、確かに今の人権擁護保法案反対勢力はネット上で大変大きな勢力になった。でもそれは既存のまとめサイトやこのFlashの、誇大化した妄想情報(*5)によってまとめられた虚妄の勢力でしかない。虚妄の勢力だから、例え大きくなっても、こういう頓珍漢な修正しか出てこないんです。じゃあ真面目に法務省設置の問題とかに興味が有るかって言ったら、そういう本当に重要な問題については全然考えない訳ですよ。それでマスメディアに文句言うなんて、ふざけるんじゃないと。

    その後マスメディアに対する陰謀論(*6)が続きますが省略、ただ一言言わせていただきます。「ソースは?」

    多くの国民にこの法案のことが知れたら、反対する人間がたくさん出てきて大変なことになるからでしょうからね。
    まぁ、デマというものは時に人を動かすからねぇ。でもその動く方法がどんなものであっても、デマを流すことはいけないことです。
    • カルト教団
    • 各国工作員
    • 犯罪加害者
    • 強姦魔
    • 未成年凶悪犯罪者
    • 外国人犯罪者
    • 公明党
    • 民主
    • 社会
    • 自民の汚職政治家
    • 街宣右翼
    • 売国政治家……
    このような人々にとってはなりお得な法案ですが、通ってしまえばしょうがないですね
    何だかなぁ……もしかして彼らの頭の中には「世の中の悪と結託し日本を悪くする政府」v.s.「それと立ち向かい一般市民を守ろうとする正義の我ら」という、極めて頭の悪い構図が出来上がってるのでしょうか?何で政府とそういう人達が組んでいる妄想できるのかなぁ?逆にそういう人達は公権力によって人権侵害されうる存在なのだから、現在の法務省外局に設置という条項では決して人権は救われない(*7)訳で、そういう人達を救えないということがまさにこの人権擁護法案の真の問題点なのだけれど……
    左の人「お……オカルト教団は怖い。信用できないよあんな教団!」

    真ん中の人「はい、ミサさん。その発言は「差別的発言」です、家宅捜査、資料押収、情報公開」

    左の人「はい横暴です。」

    う、うわー、頭悪い表現

    まぁまず当たり前のことですが、人権委員はそんなものを「特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動」であり、「相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせるもの」であるとは認識しませんね。もしそのような認識をするような馬鹿を選んだら、国民の批判を受けること間違いなしだし、第一衆参両院が許しません。さらに、もし万が一この発言をそのようなのだと認識したとしても、その調査をするために家宅捜査、資料押収をする必要はありませんが、法律は必要な調査しか許さないからです。さらにもしその様な行為が更に万が一行われたとしても、拒否すれば良いですし、裁判所は調査自体不当な者とみなしますから罰則は受けません。情報公開にしたって、「今後そういう言動をしないように」という勧告を受け、それに従わず同じような発言を繰り返した場合にのみ行われるのです。

    逆にカルト教団とされている教団のケースの場合に問題となるのは「住所移動の拒否」の問題です。居住の自由というのは憲法で保証されているのですから、「住所移動の拒否」は出来ないはずなのですが、しかし実際はそういうことが行われ、それを何とかする為には今現在裁判以外に方法が無く、しかも裁判はかなり時間が掛かる訳ですね。そこで今回の法案を活用できるはず何だけど、今の法案では法務省の外局に設置されているため、かなりそういう公権力の人権侵害には甘くなるだろうから、せいで、おそらく動くことは無いでしょう。ですからそこを修正すべきというのが議論の本筋なんですがねぇ……

    真ん中の人「たとえ私が月くんを強姦して、月くんに訴えられようと、人権擁護法案があれば罪が軽くなります。強姦魔にも人権はあるってね」
    ……もしかしてこのFlashの作者は現行法だと強姦魔に人権は認められていない、しかしこの法律が施行されれば強姦魔にも人権は認められるとでも考えているのでしょうか?だとしたら中学生の公民からやり直すことをお勧めします。いやもうこのFlashの作者が馬鹿なのは分かってきましたが、しかしそうなると「何でみんなこのFlashを紹介するのか」が謎になってきます……

    この後に面白くもないコントが続きますが省略

    右の人がこんな発言をします。

    法案が適用された日を思うと恐ろしいな。下手な発言は出来なくなるってことか。
    僕はこういう意識が既存の反対派の一番の問題点だと思うのですね。つまり彼らは自分の言論が人を傷つけるっていう可能性を一切考えていないのですね。だから下手な発言をして良いなんて認識も産まれる。言論を発表するときはいつでも緊張感を持つべきなんですよ。それが出来ない人は言論を発表すべきでないです。緊張感を持つということは能力の差ではなく、誰でも出来る事なのですから。
    左の人「しかもインターネットまで規制されたんじゃ仕方ない……被差別者が可哀想だ」

    右の人「こんな法案を内緒で通そうとするんだから、日本の政府はもうだめね」

    一応言っておきますが何も省略していません。会話の内容を全て掲載しました。「被差別者が可哀想だ」という言葉に突拍子さを感じるのは僕だけでしょうか?だって何の脈略も無く出ているんですよ。僕には今まで言ったこととの免罪符として言っているだけに見えて仕方がありません。まぁ、このFlashは物語型ですから、評論よりスピード性を目指すのは当然の理屈ですが、しかしこれはちょっと理解不能です。もし完全に物語を目指すのならそもそも人権擁護法案とか言わないで欲しい……
    とにかく、こんな法案絶対反対だよねー
    まぁ、そう聞かれて「その通り!」と答えちゃう閲覧者も閲覧者なんだけどさー

    その後また反対の呼びかけがありますがそれが如何におかしいかはさっき説明したので省略。

    あ、終わった、一切法案の文を引用することなく、具体的な対案を示す事もなく、ただ悪質なイメージ操作とデマ情報を紹介しただけで終わったよ……

    このようなFlashを紹介することは、僕は害悪しか生み出さない様に思えてしょうがないです。まぁ、確かに物事を分かりやすく説明してるように見えますが、その理由はただ単に紹介しなければならない事実や、対立する二つの利益などを紹介しないで、勧善懲悪な妄想だけをFlashの中にまとめた結果なんですね。これを紹介する事は反対派の議論を低下させるだけで、何の得もありません。むしろ賛成派はこれを証拠に反対派の議論が質の低いものである事を示して、「故に私達は正しいのだ!」と主張するでしょう。その前に、このFlashを紹介する事を止め、自分の頭で調べ考える事を、僕は皆さんに強くお勧めします。

    追記(2005/3/20 18:17)

    このFlashの作者のBBSにこの記事について反論してくれるよう書きました。

    一部訂正

    追記(2005/3/30 9:45)

    Flash作者から反論がされたのでそれに答えてみました→(12)。


    *1: これ最初に丸山真男か日本に紹介した文なんですよねぇ……それがこんな形で再び出るとは

    *2: ちなみに、上記項目以外にも問題点はあり、どちらかというとそちらの方が大きな問題なのですね。詳しくは人権擁護法案の何が問題であり、何が問題で無いか?をご覧下さい

    *3: けどそれはかなり不完全なものだ

    *4: 少なくとも今の政府と衆参両院は違うでしょう。

    *5: 当然そんな情報はマスメディアだって恥があるから記事に書けません

    *6: 「日本はマスメディアにより情報操作されてたんだよ!」「何だってー」的な話(わ

    *7: 本当に当たり前の事だが、どんな人にとっても人権は存在します。「外国人犯罪者だから」、「未成年凶悪犯罪者だから」という理由で、人権が過度に侵害されることは絶対にあってはなりません